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キン・コン・ガン!―ガンの告知を受けてぼくは初期化された

キン・コン・ガン!―ガンの告知を受けてぼくは初期化された (文春文庫PLUS 50-24)

おすすめ度 ★★★★☆


★★★☆☆  軽く楽しめる読み物だった。
筆者自身の肝臓ガンの発見から、治癒と退院までを描いた本。

ガンにかかっていたのに、これだけ軽快なものが作れる、筆者の精神力の強さと余裕には驚いた。

内容は、ものの1時間くらいで読める、軽く楽しめる読み物だった。

これが遺作だと思うと、その軽さと、ガンという病の深刻さのギャップと、既に筆者がこの世にないという事実に、とても不思議な気持ちになる。

★★★★★  これもまた同級生の訃報
氏の本は、金魂巻以来のファンでほとんど読んでいる。でも、この遺作となった本だけは読んでいなかった。なんとなく敬遠していた、というかな?氏の切り口はどこまでも、シニカルなので、闘病記なんて似合わない、と思いこんでいたせい。ところが、この作品に至っても、まったく文体も心意気も変わらず。逆にうるうるしてしまった。

そして、渡辺氏らしいな、と思ったのが、ガンの告知によって、人生が「初期化」された、という表現。その時は、言いえて妙だと思ったが、具体的には、その原因がはっきりしなかった。ところが、偶然にも、つい最近学生時代のサークルの友人の訃報をまじかにして、はっきりとそのメッセージが感じられた。

生き方って、ガンの告知などの外からのワンクリックによって、もののみごとに簡単にリセットされるものだということ。そこから先は「死ぬことを前提に生きる」ということがデフォルトになるんだろう。そこまでは「緩慢にしかし確実に人は死ぬという事実は忘れて生きている」から。

しかし、その初期化を行わずに、死ぬことだって多い。突然の病、事故、加齢など。その場合は、その分、周りの誰かの人生が初期化されているのかもしれないけど。人生の初期化、もちろん遠慮したいけど、その人生も生きる価値が多いにある。


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